映画「李藝(りげい)」を観た

ちょっと前に桜坂シアターで観たドキュメンタリー映画である。
600年も前室町幕府時代に日本に40回も海を越えて交流を進めていた韓国人外交官李藝の足跡を俳優ユン・テヨンがたどる。
釜山から京都まで。途中、対馬があり瀬戸内海の小さな港町を訪ね、そこには今なお韓国通信使との交流の歴史が大切に残されていた。
その一つに鞆の浦もあった。(数年前この港町の風景を残そうと住民が立ち上がり高架橋を作らないよう裁判を起こして勝利したことが思い出される。宮崎駿監督のアニメ「ぽにょ」の舞台と言われているところである。)
この映画に沿って小さな港町を訪ねてみたいものである。
方や日本の学生が韓国に招かれ、知らなかった韓国と日本の歴史に触れる体験をする。
日韓に横たわる問題を若者はどう乗り越えてくれるのか、期待したい。
隣人と共に前進するためにも、歴史を知り過去の人々に勇気をもらえる映画であった。
この李藝が何故43年間にもおよぶ死も隣り合わせの航海を続けたか、ということが忘れられない。
何と李藝の母は彼が6歳の時に日本人によって拉致され、日本に連れ去られたのである。
なのに、日本に反撃を試みるのではなく、平和外交によって、母を救い出そうと必死の航海に出たのである。
その誠実な人柄は時の韓国の王様にも認められて、行く先々の日本で歓迎され、京都でも篤いもてなしを受けている。
外交にとはこうありたいものである。
今の日韓関係のお粗末さは人類の劣化を感じさせる。