映画「鬼に訊(き)け」を観た

今は亡き薬師寺宮大工棟梁・西岡常一氏の記録映画である。
20年も前に、友達から西岡常一著「木に学べ」と言うタイトルの本を勧められて読みだしたけど途中でやめたままだったので、これが映画になったのだーと知ってすぐに桜坂に出向いた。
もちろんNHNでもドキュメンタリーを放映していたのでそれも使っての映画らしい。
しかし、久々に気合の入った仕事人を目の当たりにしたーと言う感じがして、気持ちがすっきり、とても感動した。
(もっとも、初日だったので、映画監督もわざわざ挨拶したのはいいけれど、沖縄には木造建築の歴史は皆無だから、沖縄の人にはこの映画は分からないだろうなんて呟いたのには驚いて、頭にきた。何でも、復帰に反対だったそうで、復帰を願って果たした沖縄に失望している様子。きっとそれには深い考えがあるんだろうけど、舌足らずでは誤解を受けるわ。私はこの監督のイメージが薄れるまでこの映画を思い出すのがいやだったのだけど、やっと書き残して置きたい気持ちになった。)
何と言っても感心したのは、常一氏はおじいさん(一代目棟梁)の指導で宮大工棟梁に仕立て上げられるのだけれど、高校進学にあたって、本人もお父さんも工業高校の建築科を望んだけど、おじいさんが農業高校だーと決めたんだって。
それが後に、草木の本質を見極める力となり、木の心を知る常一氏の哲学を形作ったことがわかる。
千年も残る木造建築物はヒノキを使ってこそであるけれど、日本の森はもう無残で、ヒノキを求めて台湾に自ら何度も赴いて、一本一本使う個所を決めて来たという。
ヒノキの育った環境、東西南北をそっくりそのまま、建築物に生かすんだそうな。
そうして千年の建物が可能だそうで、ここでは東京大学の教授を納得させて、一緒に仕事を進めていたけれど、
どうしても国のお役所から、鉄骨を使え、コンクリートを使えと言われ、それとの戦いがたいへんだったらしい。
あらためて、奈良の法隆寺薬師寺を見学するのが楽しみになった。
それからー、いつもいい本を紹介してくれていた大の読書家こうちゃんは今、郷里の市の議会議員として3,4期頑張っている。
読書家の彼女には議員としてもきっといい仕事が出来ていると思う、陰ながら応援しているんだわ。