殺人犯で作家永山則夫

その妻、和美さんのドキュメンタリーをテレビで見た。
永山氏が多くの作家たちの嘆願を却下され、不運な死刑を執行されたことは覚えていた。
しかし、獄中結婚した和美さんの手記はすごかった。
沖縄で、フィリピン人との混血私生児で戸籍もなく祖母の手で育った人だった。
福祉事務所で生活費の補助を申請した時、白人との混血は10ドル、黒人は5ドル、フィリピンは3ドルと言うことだったって。
全く理解に苦しむけど、和美さんの気持ちはいかばかりだったろうか。
和美さんを捨てて、米兵とアメリカに渡った実母を殺したいと考えた・・けど、祖母の面影がそれを押し留めた。
親から捨てられた思い、社会から阻害された体験が永山則夫と共通している。
しかし、獄中結婚し、二人で精神的に支えあい、永山氏は獄中で教育を受け、手記は作家としての評価を受け、その印税は遺族に送り続けた。
終身刑としての生をしっかりと生きていたのに・・・、(榊原事件の影響か)その後、死刑の判決が下され、早々に殺されてしまった。
すべてを見続けてきた和美さんの語る心情には高貴な高僧の感じがした。